突発性難聴Sudden Deafness




文字どおり突発的に生じる原因不明の難聴のことです。
音響外傷などの明らかな外因があるものや、以前より難聴があったなど原因が明らかなものは除外されます。

原因が明らかでない突然起こった感音難聴を総称して突発性難聴といいます。
ほとんどの場合は片側だけに起こります。


[症状]

前ぶれもなく発症する難聴で 耳鳴・めまいを伴うこともあります。耳漏,耳痛などはありません。
表1に厚生省・特定疾患調査研究班による診断の手引きを示します.




[予後]
治癒する割合は、全体の1/3が完全に治り、1/3が治っても少し難聴が残る、1/3が不変といわれています。
めまいを伴う例,難聴が高度な例,高齢者,発症後治療開始まで2週間以上経った例では聴力の予後は不良である.

めまいがなく,聴力障害が比較的軽い例や発症後早期に治療を開始した場合の予後はよいとされています。


[治療法]

できれば仕事を休んで、大きな音を聞かないように安静を保つことも必要です。
薬物療法としてはステロイド剤が主に用いられます。
その他に、血管拡張剤、ビタミンB12,代謝改善剤などもつかいます。

星状神経節ブロック,高気圧酸素療法を行っている施設もあります。

 


表1.突発性難聴診断の手引き 

T.主症状
1.突然の難聴
文字通り即時的難聴または朝、目が覚めて気づくような難聴。ただし、難聴が発生した時
「就寝中」とか「作業中」とか。自分がそのときなにをしていたのかが明言できるもの。
2.高度な感音難聴
必ずしも高度である必要はないが、実際問題として「高度」でないと突然に難聴になったこと
に気づかないことが多い。
3.原因が不明、または不確実、つまり、原因が明確ではない・
U.副症状
1.耳鳴り
難聴の発生と前後して耳鳴りを生じることがある。
2.めまい、および吐き気、嘔吐
難聴の発生と前後してめまいや吐き気、嘔吐を伴うことがあるが、めまい発作を繰り返すことはない。

[診断の基準]
確実例 T.主症状、U.副症状の全条項をみたすもの。
疑い例 T.主症状の1.2.の事項をみたすもの。
[参考]
1.Recuruitment現象の有無は一定せず。
2.聴力の改善・悪化の繰り返しはない。
3.一側性の場合が多いが、両側性に同時に罹患する例もある。
4.第[脳神経(聴神経)症状以外に顕著な神経症状を伴うことはない。



(厚生省特定疾患調査研究班による)